『チエちゃんと私』(よしもとばなな)
「イタリア雑貨の買い付けをしながら一人暮らしをしていた私の家に、七歳下の従妹チエちゃんがやって来た。率直で嘘のないチエちゃんとの少し変わった同居生活は、ずっと続くかに思われたが……。」
『チエちゃんと私』を読了。サ、サッと読めそうな感じがしたけれども、案外と時間がかかってしまいました。
すでに戯曲化され、ナポリの劇場で(イタリア語で)上演されたそうですが、主人公の「私」は42歳の独身アラフォー。従妹のチエちゃんは35歳。二人ともかなり年くってます。
気ままに暮らしてきた「私」は、オーストラリアで生まれ育ったチエちゃんとの奇妙な同居生活の中で、お茶を飲んだり、一緒にごはんを食べたりという、ささやかなことの積み重ねの大切さを知り、日増しにチエちゃんがなくてはならない存在になっていくのですが、一方で、いつかチエちゃんがオーストラリアに帰りたいと言えば、快く見送ってあげたい、それが本当の愛情なんだと思って、チエちゃんに依存しすぎないように、適度に距離を保つべく日々努力しながら暮らしています。
「私」に恋人ができたり、チエちゃんとは血のつながりがないことが判明したりと、まあ、いろいろあって、チエちゃんはオーストラリアに一時帰国するのですが、果たして彼女は戻ってくるのか?
これがね、戻ってきたのです(笑)。私は、戻ってこないと踏んでいたので、うれしい誤算でした。
チエちゃんという存在は、考えようによっては、子供やペットに置き換えることもできるわけで、どんなに大切な人でも、どんなにそばにいてほしくても、ずーっと一緒にいられるなんてことは絶対ない。みんな巣立っていくし、旅立っていく。
だから、「なんだかんだいったって、人はみんな去っていくんだよね~」みたいな結論に持っていくのかな?と思っていたら、そうじゃなくて、チエちゃんは戻ってきた。そして、「私」は、恋人じゃなく、チエちゃんとの暮らしを選ぶのです。さすが、ばななワールド。希望と優しさにふんわり包まれた読後感♪
よしもとばななの小説の主人公って、往々にして、近しい人、たとえば父母や祖父母、恋人などを亡くしているんですよね。今回は叔母さん(チエちゃんの母親)。
で、『キッチン』のえり子さんや『アルゼンチンババア』のユリさんみたいに、強烈な個性の持ち主はみんな途中で死んじゃうから、もしかしたらチエちゃんも?なんて少々不安になったりもしましたが、大丈夫、チエちゃんは最後まで元気でした!
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)



![: ザ・マジックアワー スタンダード・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/517BCEc420L._SL75_.jpg)




最近のコメント